ページの端◆幼馴染
幼馴染に野生児がいた。
腹が空けばノビルを掘り怪我をすればユキノシタの葉を揉んで傷に当て草の茎で固定する。
こいつと一緒に木に登ってカラスの巣のキラキラした宝物を見つけたり、雨の後の地面で水晶を拾ったりした。
でも周りに聞いてもそんな友達はいなかったという。あれは誰だったんだろう。
祖母の遺品を整理していたら「綴り方」という束が出てきた。
祖母の小学校の文集だった。
そこに書かれた子供時代の祖母はやんちゃで男勝りで、そう、あの幻の幼馴染にそっくりだ。
そういえばあのころ祖母は寝たきりでいつもうとうとしていたっけ。
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