ページの端◆理系四題
◆流星
「流星群の極大日なのに」
曇った夜空を見上げる私に彼が言った。
「特別な日じゃなくても毎晩星は流れてるよ」
──その言葉はシュウっと音を立てて私の心に飛び込んだ。
今もまだ同じ場所で光ってる。
◆音
日常は音楽で溢れている。
落ちたスプーンが奏でる高いラのシャープ、
卵を割る君のリズムは「ロック・ユー」。
こんな僕のつぶやきもまた、音程のない短い音楽。
◆アオアズマヤドリ
「アオアズマヤドリのオスは青いものを集めてメスを呼ぶんだ」
「ふうん。」
「ペンギンのオスはメスに石を贈るんだ」
「それで?」
「コーヒー淹れたら飲む?」
「あなたはコーヒーなんだ」
◆ボトルネック
「だいたい中身に比べて口が小さすぎるのよっ」
ボトルを洗いながら彼女が忌々しそうに呟く。
「円周は半径の二乗に比例するから、蓋のゆがみをなるべく」
言いかけた僕を、彼女がじっと見る。
「そういうことはいくらでも出てくるのにね」
――僕の喉を詰まらせるのは、キミガスキダの六文字。
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