ページの端◆夏氷
「夏氷の日なんだって」
そう言いながらこんもりと盛られた氷をスプーンですくう従姉。
「食べる?」
差し出されたスプーンに背中を向けた。
からかってるのは分かってるんだ。
真に受けて俺が口開けたら、目の前で引っ込めて自分で食うつもりだろ。
*~*~*
突然、冷たくて柔らかい何かを首筋に押し付けられ、出かけた悲鳴を飲み込んだ。
「おすそわけ」
笑いを含んだ声が耳の後ろから響く。
お前なんか大嫌いだ。
俺のこと好きでもなんでもないくせに。
俺のことなんて好きにならないくせに。
※夏氷=かき氷。7月25日の夏氷の日にちなんで。
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